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セルトリズマブペゴルが抗リン脂質抗体症候群患者の妊娠合併症の予防に有効

Title:

Certolizumab pegol to prevent adverse pregnancy outcomes in patients with antiphospholipid syndrome and lupus anticoagulant (IMPACT): results of a prospective, single-arm, open-label, phase 2 trial

タイトル:

抗リン脂質抗体症候群およびループスアンチコアグラント陽性患者の有害妊娠転帰予防を目的としたセルトリズマブペゴル(IMPACT試験):前向き単群非盲検第II相試験

著者:

D Ware Branch, Mini Y Kim, Marta M Guerra, Joseph Worden, Carl A Laskin, Maria T DeSancho, Inna V Landres, Jason S Knight, Haley S Slosberg, Margaret Minett, Jane E Salmon

ジャーナル:

Ann Rheum Dis 2025;84(6):1011-1022. Doi: 10.1016/j.ard.2025.02.012.

KeyPoint

抗リン脂質抗体症候群(APS)では、低分子量ヘパリンと低用量アスピリンによる標準治療にもかかわらず、習慣性流産、胎児死亡、胎児発育不全、子癇前症等の負の妊娠転帰(Adverse pregnancy outcomes; APOs)が依然として発生することが知られています。特にループスアンチコアグラント(LAC)陽性例ではAPOsのリスクが40%以上に達することも報告されています。一方、動物モデルではTNFα阻害により胎児死亡や胎盤異常が改善することが示されています。本研究(IMPACT試験)は、APSかつLAC陽性のハイリスク妊婦を対象に、標準治療へ胎盤移行性がほとんどないTNFα阻害薬のセルトリズマブペゴルを追加した場合の有効性と安全性を検討した、初の前向き単群第II相試験です。主要評価項目である重篤なAPOs17.6%(解析対象45例では20%)で、想定された対照群の40%を下回り、有効性基準を満たしました。分娩週数中央値は36.5週、新生児生存率は93%であり、安全性の面でも重篤感染や全身性エリテマトーデス(SLE)の新規発症・増悪は認められませんでした。以上より、APSにおける妊娠合併症の予防には、TNFα阻害による炎症制御が重要な治療戦略となる可能性が示唆されました。特にAPOsのハイリスク症例においては、妊娠初期からのセルトリズマブ・ペゴル追加が新たな選択肢となることが期待されます。
【目的】低分子量ヘパリン+低用量アスピリンによる標準治療に、胎盤通過性がほとんどないTNF-α阻害薬であるセルトリズマブペゴルを追加することで、抗リン脂質症候群(APS)によるハイリスク妊娠において、負の妊娠転帰(APOs)の発生率が低下するかどうかを評価する。

【方法】APSおよびループスアンチコアグラント陽性の妊婦に対し、標準治療に加えて妊娠8〜28週までセルトリズマブ・ペゴルを投与して評価した。主要APOsは、妊娠10週以降の胎児死亡、重症の子癇前症、または妊娠34週未満の分娩を要する胎盤機能不全の複合評価項目とした。目標症例数は45例とし、APOs発生率は治療群では20%、歴史的対照群では40%と想定された。

【結果】51例が登録され、9例が主要APOsを発症した(17.6%;95%信頼区間、8.4-30.9%)。妊娠10週未満の流産または遺伝的異常による胎児死亡の6例を除くと、主要APOs45例中9例(20%;95%信頼区間、9.6-34.6%)に認められ、事前に設定したセルトリズマブの有効性基準を満たし、対照群より有意に低かった。セルトリズマブを投与された患者の分娩週数の中央値は36.5週であり、主要評価項目である子癇前症を呈した症例でも30週以降であった。退院時の新生児生存率は93%であった。重篤な感染症やSLEの新規発症・増悪も認められなかった。

【結論】セルトリズマブは、高リスクのAPS合併妊娠において、胎盤関連のAPOsの予防に有効であることが示唆された。

【参考文献】
1.Yelnik CM, Laskin CA, Porter TF, Branch DW, Buyon JP, Guerra MM, et al. Lupus anticoagulant is the main predictor of adverse pregnancy outcomes in  aPL-positive patients: validation of PROMISSE study results. Lupus Sci Med 2016;3(1):e000131.

2.Pregnolato F, Gerosa M, Raimondo MG, Comerio C, Bartoli F, Lonati PA, et al. EUREKA algorithm predicts obstetric risk and response to treatment in women with different subsets of anti-phospholipid antibodies. Rheumatology (Oxford) 2021;60(3):1114-1124.

3.Berman J, Girardi G, SalmonJE. TNF-alpha is a critical effector and a target for therapy in antiphospholipid antibody-induced pregnancy loss. J Immunol 2005;174(1):485-490.

(文責:島田 裕美)