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全身性血管炎合併妊娠は妊娠高血圧症候群と早産のリスクが高く、そのリスクと関連する因子が同定された

Title:

Risk of Hypertensive Disorders and Preterm Birth in Pregnant Women With Systemic Vasculitides: A Nationwide Population-Based Cohort Study

タイトル:

全身性血管炎合併妊娠における妊娠高血圧症候群及び早産のリスク (フランスにおける全国的なコホート研究)

著者:

Camille Mettler, Nathanael Beeker, Mathis Collier, Véronique Le Guern, Benjamin Terrier, and Laurent Chouchana

ジャーナル:

Arthritis & Rheumatology. 2024;76(3):429-437. doi: 10.1002/art.42747

KeyPoint

・全身性血管炎合併妊娠においては7人に1人が妊娠高血圧症候群または早産を来していた。全身性血管炎の中で、ANCA関連血管炎、大型血管炎(高安動脈炎)、免疫複合体血管炎が両者のリスクと関連していた。

・妊娠中の血管炎の再燃は妊娠高血圧症候群及び早産のリスクとなっていた。

・今回同定された全身性血管炎合併妊娠における妊娠高血圧症候群や早産のリスクに関連する因子を考慮して、妊娠計画およびプレコンセプションカウンセリングを行っていくことで妊娠のアウトカムが改善される可能性がある。

*Hypertensive Disordersは妊娠高血圧症候群と訳しましたが、この論文上の定義はgravid hypertension and pre-eclampsia (ICD-10 codes O11, O12, O13, O140, O141, and O149), HELLP syndrome (ICD-10 code O142) with or without eclampsia (ICD-10 code O15)と記載されています。
【目的】全身性血管炎合併妊娠において、妊娠高血圧症候群及び早産はよく見られる合併症である。本研究は全身性血管炎合併妊娠における妊娠高血圧症候群及び早産のリスクの程度を明らかにするとともに、それらに関連するリスク因子を同定することを目的とする。

【方法】フランスの健康保険データデースを使用して、全身性血管炎を持つ女性の2013 年から2018年のすべての妊娠を含む全国的なコホート研究が実施されました。全身性血管炎合併妊娠は、全身性血管炎を持たない女性の妊娠と共変数を用いてマッチングされ比較検討された。これらから、全身性血管炎合併妊娠における妊娠高血圧症候群及び早産のリスクの程度及びそれらに関連する危険因子を同定が行われた。

【結果】3,155,723 件の妊娠のうち、全身性血管炎合併妊娠が646件あり、共変数を用いてそれらとマッチングされた対照となる妊娠が3,230 件抽出されました。全身性血管炎合併妊娠は妊娠高血圧症候群(オッズ比[OR] 1.7, 95%信頼区間[95% CI] 1.32.2)および早産(OR 1.8, 95% CI 1.42.3)と有意に関連していた。妊娠前の慢性腎不全、妊娠前の既往または治療中の高血圧、妊娠中の血管炎の再燃、および全身性血管炎のサブグループ(ANCA関連血管炎、大型血管炎[高安動脈炎]、免疫複合体血管炎)は、独立して妊娠高血圧症候群の発症と関連していた。出産時の母親の年齢、妊娠前の慢性腎不全、および妊娠中の血管炎の再燃、および全身性血管炎のサブグループ(ANCA関連血管炎、大型血管炎[高安動脈炎]、免疫複合体血管炎)は、独立して早産の発生と関連していた。

【結論】全身性血管炎合併妊娠においては7人に1人が妊娠高血圧症候群または早産を来していた。妊娠中の血管炎の再燃はこれらと関連していた。これらは病気の安定を確保するためのプレコンセプションカウンセリングの重要性を示唆している。

【参考文献】

  • Sims C, and Clowse MEB. A comprehensive guide for managing the reproductive health of patients with vasculitis. Nat Rev Rheumatol. 2022;18:711–723.

  • Sims CA, Bermas BL, Clowse MEB. Vasculitis and pregnancy: disease state and management [review]. Rheum Dis Clin North Am.2023;49:679–694.


(文責:藤原 弘士)