文献紹介のページを更新いたしました(2026年3月掲載)
セルトリズマブペゴルが抗リン脂質抗体症候群患者の妊娠合併症の予防に有効
Key Point
抗リン脂質抗体症候群(APS)では、低分子量ヘパリンと低用量アスピリンによる標準治療にもかかわらず、習慣性流産、胎児死亡、胎児発育不全、子癇前症等の負の妊娠転帰(Adverse pregnancy outcomes; APOs)が依然として発生することが知られています。特にループスアンチコアグラント(LAC)陽性例ではAPOsのリスクが40%以上に達することも報告されています。一方、動物モデルではTNFα阻害により胎児死亡や胎盤異常が改善することが示されています。本研究(IMPACT試験)は、APSかつLAC陽性のハイリスク妊婦を対象に、標準治療へ胎盤移行性がほとんどないTNFα阻害薬のセルトリズマブペゴルを追加した場合の有効性と安全性を検討した、初の前向き単群第II相試験です。主要評価項目である重篤なAPOsは17.6%(解析対象45例では20%)で、想定された対照群の40%を下回り、有効性基準を満たしました。分娩週数中央値は36.5週、新生児生存率は93%であり、安全性の面でも重篤感染や全身性エリテマトーデス(SLE)の新規発症・増悪は認められませんでした。以上より、APSにおける妊娠合併症の予防には、TNFα阻害による炎症制御が重要な治療戦略となる可能性が示唆されました。特にAPOsのハイリスク症例においては、妊娠初期からのセルトリズマブ・ペゴル追加が新たな選択肢となることが期待されます。