文献紹介のページを更新いたしました(2025年11月掲載)
慢性腎臓病合併妊娠では、加重型妊娠高血圧腎症をいかに予防するかが大事
Key Point
慢性腎臓病(CKD)は妊娠高血圧腎症(PE)のハイリスク因子である。これまでにCKDを有する女性で妊娠が腎機能に与える長期的影響を検討した研究がいくつか存在し,妊娠そのものはCKD患者の腎機能低下を加速させることが示されている。しかし,PEが長期的な腎機能低下あるいは末期腎不全のリスクを増大させるかどうかについては,いまだ議論されている。
この研究では、妊娠そのものがCKD女性の腎機能低下を加速させるだけでなく、PEを発症すると腎機能低下をさらに加速させうることがわかった。特に妊娠中に早発型PEを発症した場合,遅発PEやPEを発症しなかった女性と比較して,腎機能低下の進行がより速い。
このことから、CKD合併妊娠ではPE発症リスクを軽減させるために低用量アスピリンの使用が腎機能低下の抑制にも有益である可能性がある。また、妊娠中にPEを発症したCKD女性では,CKDの進行を遅らせるために,出産後も綿密なフォローアップと適切な治療を行うべきである。