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文献紹介のページを更新いたしました(2025年10月掲載)

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日本人の関節リウマチ罹患女性の分娩率の評価ー保険請求データを用いた研究ー


Key Point


RA女性は妊孕性が低いことがすでに報告されていますが1)-3)生物学的製剤が広く用いられる近年においては、疾患活動性がコントロールされるようになり妊孕性の改善が期待されます。しかし近年のRA女性の妊孕性に関する報告はありません。本研究では日本の保険請求データベースを用いて、5年間の追跡期間におけるRAおよび非RA女性の分娩率と分娩までの期間が調査されました。RA女性は非RA女性に比べ5年間の分娩率が低く、分娩までの期間(Time to Delivery: TTD)が有意に長いことが分かりました。また、メトトレキサート(MTX)使用を伴うRA群ではさらに延長していました。本研究ではMTX使用を“フォロー中のいずれかの時点での処方”で定義しています。本研究の限界点として、著者らも述べているように、妊娠意図・避妊・パートナーの状況、服薬中止や切替えの実際、疾患活動性などの交絡因子を把握していないことやアウトカムが出産イベントに限定され、流産・死産は評価できていない点があげられます。これらを踏まえると、TTD延長をMTX自体の因果効果と断ずることはできず、安全配慮に基づく計画的な妊娠時期の調整や重症度の違いが影響した可能性を考慮すべきです。本研究の結果より、生物学的製剤が普及した今日においてもRA女性の妊孕性は低いことが示唆されました。妊娠可能年齢のRA女性の診療では、妊娠を見据えたRA治療(休薬・治療薬の変更の計画)と産科との早期連携が重要であり、将来の妊娠希望を前提としたShared decision makingを支える有用な知見といえます。


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