文献紹介のページを更新いたしました(2024年10月掲載)
SLE合併妊娠では人工早産だけでなく自然早産の頻度も高い
Key Point
Systemic lupus erythematosus (SLE)合併妊娠ではしばしば妊娠高血圧腎症、胎児発育不全、早産などを合併する。早産はSLE合併妊娠における最も頻度が高い合併症の一つであり、その割合は30-40%と一般妊娠での10%と比較して高率である。しかしSLE合併妊娠で早産が多いことは、妊娠高血圧腎症、胎児発育不全やSLEの病性の悪化に伴って人為的に妊娠を終結させる人工早産だけでは説明がつかない。妊娠満期以前に起こる子宮収縮や前期破水に起因する自然早産の原因は不明で、SLE合併妊娠における頻度も既報からでは明らかではない。本研究ではSLE合併妊娠における自然早産および人工早産の割合を明らかにすることを目的とした。結果、SLE合併妊娠における21件の論文8157妊娠が対象となり、平均して妊娠の31%が早産となった。早産の内訳としては全妊娠の14%が自然早産、16%が人工早産であった。驚くことに、SLE合併妊娠での高い早産割合のうちの半数は自然早産に伴うものであった。また自然早産のうち、前期破水から自然早産に至ったのは約半数であり、一般妊娠での自然早産に占める前期破水の割合の約2倍であった。一般集団における自然早産のリスクとしては、早産既往、子宮頸管長短縮、喫煙など多因子要因が挙げられるが本研究ではこれらの因子については検討されていない。今後、SLE合併妊娠における自然早産の原因やリスク因子を究明し、自然早産を減らすような治療や介入方法を探求していくことが課題である。