文献紹介のページを更新いたしました(2024年7月掲載)
妊娠と出産による母の脳皮質容積変化:「mammy brain」や「産後うつ」の病態解明の一歩となるか?
Key Point
妊娠と出産を契機に「mammy brain」「brain zoomies」が引き起こされたり (複数のタスクを同時に行えないと感じたり、記憶力・集中力が低下したと感じることがあります)、 逆に、 児への愛着・共感・思いやりが深くなることが知られています1)。しかしそれらを説明する脳のメカニズムは明らかにされてきませんでした1)。今回, 紹介する論文では、 妊娠・出産・出産後の脳皮質容積の解析からその原因に迫っています。妊娠中の脳皮質容積の減少がmammy brainの解明に繋がるかもしれません1)。妊娠・出産・出産後を通じて成人女性の脳に起こる「神経可塑性」は未解明な状況が続いているため、「妊娠の神経科学」は大きな研究トピックになりつつあります。「妊娠の神経科学」の詳細が解明されることにより2), 3)、mammy brainや産後うつへの対応・予防方法が確立されるかもしれません。「妊娠の神経科学」はアンメットニーズの高い研究領域ですので、今後も多くの研究成果が集積されると期待しています。