文献紹介のページを更新いたしました(2024年6月掲載)
妊娠前にやせている女性は産後2年以内の骨折リスクが高い
Key Point
本邦の20代女性の5人に1人はやせ(BMI<18.5)に該当する。妊娠出産の場面において、妊娠前の女性のやせは37週未満の早産や2500g未満の低出生体重児のリスクとなり1)、本邦の低出生体重児が多い要因の一つとなっている2)。また、やせは主に骨形成の低下によって骨量が減少し、骨密度の低下をきたすものの、妊娠を経験したやせの女性が、将来どのような骨の健康に関するリスクを抱えているのか、その実態は明らかでなかった。
本研究により、妊娠前にBMI18.5未満のやせがある女性は、産後2年以内の脆弱性骨折のリスクがBMI18.5以上の群と比べて1.8倍高いことが示された。産後の女性は、1日の大半を育児に費やし、日々体重が増えるわが子を気が遠くなるほど長時間抱っこし、時にはおんぶをしながら家事をこなすなど、筋骨格系への負担は語りつくせないほどである。そこに骨折というイベントが加わるだけで、女性だけでなくわが子もまきこんだ日常生活の破綻が生じる可能性がある。骨折は命に係わるイベントではない。しかし、確実にQOLを低下させるきっかけになるため、発生頻度は非常に少ないものの、すべての産後の女性が、健やかに自身が望む人生を送れるように妊娠前から骨密度を意識した健康管理を母性内科医として支援することが望まれる。