文献紹介のページを更新いたしました(2024年1月掲載)
地震と周産期予後との関連性に関して
Key Point
地震大国の日本において、妊婦が被災するケースは少なくないです。2011年の東日本大震災、直近では2024年初めの能登半島地震、今後も南海トラフや首都直下型地震の発生の可能性が指摘される中で、災害弱者である妊産婦が被災した場合の母体・胎児への影響に関して理解しておくことは大切です。本研究では地震と早産や低出生体重などの周産期予後は地震前後で変わらない可能性が示されていますが、サブグループ解析では、アジア地域の地震後では早産が増加する可能性があることが示されています。また他の論文では胎児期や乳児期に被災すると成人期の高血圧と糖尿病のリスクが増加するとの報告1)や、地震当時および地震直後に妊娠していた一部の女性では、妊娠高血圧症候群、呼吸器疾患、精神疾患などの妊娠合併症が増加した2)との報告もあります。地震の周産期予後への影響を理解する上では、その地域の特徴や被害範囲・状況などに関するデータなども含めた更なる研究が必要だと考えますが、今わかる範囲のエビデンスを理解しておくことは重要です。